新年、あけましておめでとうございます。

2019年は、みなさんにとってどのような1年、変化があったでしょうか。

わたしは、昨年のこのごあいさつで、

日本の社会、そして、わたしたしの暮らすコミュニティの社会の変化への対応力が衰えているのではないかと問題提起させていただきました。

そして、わたしたちができること、しなければいけないことは、その対応力を取り戻すこと、今の時代に、技術に、暮らしにあわせて、ふたたび創造すること、それをコミュニティの内発的な力で乗り越えることだと指摘しました。

その上で、わたしたちは、コミュニティへの支援を通じて、社会の対応力を再構築するのだと宣言させていただいた次第です。

2019年は、消費税が10%に上がりました。税率の問題、軽減税率の問題など物議を醸しました。大きな問題です。
他方、わたしは、関連して生じたコミュニケーションの変化を目にし、危機感を覚えました。キャシュレス化に伴うコミュニケーションの変化です。

・・・コンビニで買い物をする際、若者はうつむいてスマホを操作し、すっと差し出す。店員さんがバーコードを読み込むと「ペイペイ」と音がする。若者は片手でスマホを操作しながら、もう片方の手で商品を受け取り、コンビニを後にする。店員さんは、いらっしゃいませといい、以前なら、対峙する方は、こんにちはまでは言わないまでも、少し笑みを浮かべたりしてました。しかし、今では、笑みを生むアイコンタクトがスマホを差し出しという行為で少なくなってしまったと感じる場面があります。

秋に海外インターンシップ中の知人の大学院生と一緒に訪れたヴェネツィアでは、かの複雑な水路と路地、無数の橋からなる水上都市をスマホを手に道に迷うことなく黙々と歩く観光客を見かけました。そのせいか、20年前に訪れたときと比べると、人の多いところと少ないところの差が大きくなった気がします。歩きスマホで転ばないかとの心配より、ヴェネツィアの楽しさを半分も味わえていないのではないかという心配が先に脳裏に浮かびました。

日本を訪れたフランシスコ教皇は、
「日本は効率性と秩序によって特徴付けられている。それだけにとどまらず、より一層人間らしく、思いやりのある、いつくしみにみちた社会を作り出したいという熱い思いを感じました」
との言葉を残しましたが、熱い思いが、日常の暮らし、まちの中に感じられるでしょうか。これは、感想ではなく、われわれに気づきを促すまさに「説教」でしょう。

現在、わたしたちが取り組んでいるプロジェクトの現場のひとつ城東商店街(大阪市城東区)では、歩いてだけで熱い思いが感じられます。2018年の台風21号でも傷んだ老朽化したアーケードの改修工事が行われているこの商店街では、アーケードの完成を祝うイベントを新春に企画しています。お祝いにはファンファーレからやなとの意見がでると中学校の吹奏学部に気軽に声をかけるお肉やさんのご主人がいて、たくさん人がくるなら駐輪場の手配しないとね、と仕事の合間に調整に走る八百屋さんのご主人がいます。お二人とも、日中はお客さんとの会話が絶えず、一緒に歩いていると、出会う人、出会う人とあいさつを交わし、なんだか、こちらもうれしくなります。

「仕事によって疎外されるのか。あるいは社会に変化をもたらしながらパッションを持って生きるのか、そのいずれかだ。」
/エンツォ・マーリ(田代かおる訳)/プロジェクトとパッション/みすず書房

このお二人をはじめ、この城東商店街そして、城東商店街の周辺(蒲生四丁目界隈(がもよん))のプロジェクトに関われせていただくと、マーリの指摘するように、情熱をもって仕事にあたり、まちに暮らす方とたくさん出会います。

わたしたちも、負けずにに、「社会に変化をもたらしながらパッションを持って生きる」そんな集団、そんな組織としてまちの方々によりそい、まちを育み、広げていきたいと思います。

年末に、「社会に変化をもたらしながらパッションを持って生きる」イタリアの方々の事例を学ぶ機会がありました。フランスにもそんな方がいるし、恐らく世界中にいるのだろうと思います。そのような生き方をするのは突出した方で、簡単なことではありません。しかし、信頼するなかまとともになら、そのような生き方をすることは可能ではないでしょうか。そのような、生き方を自然と、相互に助け合い、刺激し合うながら、築いていくコミュニティ。わたしたちげ目指したいのは、そのためのシカケとシクミを創ることです。

こんなところでできているよ。
こんな方法があるよ。
など、ご教示ください。

みんなで取り組みましょう!
よろしくお願いします。

2020年元旦
街角企画 株式会社
代表取締役 山本 一馬